前段取りを無くすはんこ
現代の日本では、家や車を買うとき、役所に書類を出すときなど重要な手続きには必ずはんこが必要になる。日本のビジネスの場においてもはんこは必須アイテムである。領収証や受領証、また各種書類の確認や修正をするために個人の認印を捺す。
我々はこんなにも日常生活をデジタル機器に囲まれているのにもかかわらず、今でも日本のはんこ文化はなくならない。それは、今や日本にしかない印鑑登録制度があるからである。
印鑑登録制度とは明治時代に制定され、重要な契約時には必ず署名と合わせて捺印するというものである。この制度のメリットは、本人であることの証明や確認する側にとっても簡単で確実であることだ。そのため捺印の必要性を規定している法律や民法は多々ある。例えば民法968条では、遺言状は自筆の署名と捺印が必要であることを規定している。
すなわち、捺印がないと法的な文章として効力を持たないものなど法と深くかかわりがあることから、はんこを安易に廃止できないのである。
海外に目をあてると、アメリカのビジネスの場においては、ノータリー・パブリック(公証人)がいる。アメリカで書類に対して間違いなく本人が署名したということを証明するにはノータリー・パブリックが必要になり、そのノータリーパブリックの前で署名を行うことが一般的である。はんこ文化がないためビジネスの契約の時には必ず、第三者が立ち会う必要があり、このような立場の人がいるという。
それに比べ、日本では印鑑登録さえしてあれば、その証明書と実印があるだけで、第三者の立ち合いが必要なくなる。すなわち第三者が必要なくなるため契約はどこでもできることになる。さらに日本では実印と印鑑証明書があれば代理人による契約も可能となるのだ。
以上から、日本の世の中には、はんこを一日に数十回、数百回と書類に押す人がいる。例えば会社の経営者や、立場的に部下の面倒を見る必要がある人など様々である。私の叔父や母もその中の一人だ。そのような人々は当然、はんこを押すだけが仕事なわけではない。他の仕事をこなしながら従業員や部下の書類にはんこを押す。そのため母は常に首から名札とはんこを一緒にぶら下げている。そういった人々にとってはんこを押す度に印面を確認し、はんこを押すという作業は非常に無駄な時間であり、効率が悪いという。母も、自分の仕事を中断して印面を確認するのが非常に煩わしいという。そこで私ははんこを押す際に発生する前段取りをなくそうと考えた。
参考文献
”ノータリー・パブリック”.アメリカ・リーガル・サポート・サービス http://america-legalsupport.jp/ . 2019年10月3日参照
”日本でのはんこ事情”.スタンプボックス https://media.stamp-box.jp/articles/13764688858 . 2019年10月3日参照
10月28日--プロトタイプ2つ作成
11月25日--改善点修正
12月23日--試作機完成
1月20日--未定